清涼飲料水やお菓子の栄養成分表に、炭水化物から枝分かれして糖質、食物繊維と表記されているものが普遍的になってきました。これは、糖の種類や食物繊維の量が知りたい、というニーズが増えているのもあります。
その理由の回答は、以前書かせて頂いた東洋医学研究所HPのコラム(2018年3月掲載)「糖の種類によって吸収時間は違う」にあります。当院コラムにも転記ておきますので参考にどうぞ。
○はじめに
東洋医学研究所®・東洋医学研究所®グループでは、糖尿病治療モニターを募集して約3年になり、治療を受けられた方からは好評を得ています。
この間「糖とは?」「糖質や糖類、何が違うのか?」という疑問を多くお聞きしました。
そこで今回は、糖には種類があることや、糖の種類を把握することは血糖コントロールに生かせる、というお話です。
○そもそも糖とは?
糖とは何なのか?辞書(デジタル大辞泉 漢字項目 小学館)で調べてみると、
① サトウキビなどから製した甘味料。
② 炭水化物のうち、水に溶け、甘味のあるもの。とあります。
今回の趣旨に合うのは②の方です。
○糖類?糖質?炭水化物?
「糖類オフ」「糖質オフ」など書かれた飲食物をよく見かけるようになりました。しかし、どれも糖という名はつきますが、同じものなのか違うものなのか・・・・。何だかややこしいですので、図で説明しましょう。まずは大きい方から小さい方へ。
炭水化物:炭水化物=ほぼ糖、なのですが、近年、食物繊維の効能が注目されています。そのため、飲食物の栄養成分表をみても炭水化物から枝分かれして糖質と食物繊維の量が記載されています。炭水化物=糖質+食物繊維。
糖質:炭水化物から食物繊維を取り除いた糖が糖質、漢字のごとく糖の性質を持った物質を一括りしたものです。糖質=炭水化物-食物繊維。
種類としては、糖類がたくさん集まった多糖類(デンプンなど)や動物の体内に貯蔵されるグリコーゲン、糖の形を少し変えた糖アルコール(キシリトールなど)があり、雑多です。
糖質=糖類(多糖類)+糖類以外(グリコーゲンや糖アルコールなど)。
糖類:多糖類が最小単位まで分解されたのを単糖類、最小単位の単糖類が2つくっついたのが二糖類で、糖類は単糖類と二糖類を合わせたものの総称です。
糖類=単糖類と二糖類。
○糖の種類によって吸収時間は違う
口から入れた糖は最終的に最小単位の単糖類まで分解されて小腸から吸収されます。言い換えれば、単糖類まで分解されなければ吸収されないということです。よって、食べたものが炭水化物なのか、糖質、糖類なのかによって吸収時間が違うということです。
図を見てみましょう。今度は小さい方から大きい方へ(吸収時間はあくまで目安)。
糖類:最小単位の単糖類はこれ以上分解されることはないので、数分で吸収されます。二糖類は単糖類が2つついている構造になっていて、簡単に単糖類に分解できます。吸収速度は速いですが、単糖類よりは遅くなります。
糖質:沢山の単糖類が連なっている構造のため、単糖類に分解されるのに時間がかかり、その分吸収も穏やかになります。
炭水化物:炭水化物に含まれる食物繊維が糖の吸収を穏やかにしますので、糖質よりもより吸収が穏やかになります。
○血糖値を上げるのは・・・
血糖値を上昇させるのは単糖類のグルコース(ブドウ糖)です。グルコースは吸収されれば即血糖値増加に働きかけますが、他の単糖類は吸収された後、肝臓でグルコースに変わりますので、グルコースよりも血糖値を上昇させるのに少し時間がかかります。
砂糖も吸収時間は速いと思われがちですが、実は二糖類なので、グルコースに比べて時間がかかります。
そのため、低血糖時にまず推奨されるのが単糖類のなかでもグルコースを使用することです。
○食べ物、食べる順番で工夫を!
血糖値を上昇させるグルコースは、血糖値を急激に上昇させ、急激に減少させる傾向にあります。インスリン分泌能が正常な場合はコントロールできますが、それでも急激な上昇は膵臓や血管、身体に負担がかかります。
そこで、血糖値の上昇を穏やかに、高値にならないようにするには、糖の吸収時間の差を利用する手があります。
①飲食物の栄養成分表を確認
最近では、炭水化物だけでなく、糖質〇g、糖類〇gなど記載されていることが多いので、この量が少ないものを選ぶ。
②精製されていないものをあえて選ぶ
同じ飲食物でも、精製度合いによって吸収時間が変わる場合があります。例えば米や小麦。同じ米でも精製された白米とされていない玄米では、玄米の方が吸収速度は遅くなります。小麦でも全粒粉が使われているものを選ぶ。食物繊維や栄養素が豊富なのもポイントです。
③食べる順番
以前から伝えていますが、食べる順番も大事です。これは糖というよりは、食物繊維やたんぱく質、脂質で消化を穏やかにしたり、糖の吸収を穏やかにさせる方法です。食べる順番は、野菜→肉・魚→炭水化物。
また、高齢者の方は、筋力維持が大事になる場合があります。野菜を先に食べるだけでお腹が一杯になり肉や魚の食べる量が少なくなり、結果として筋力低下に繋がることがあります。身体と相談してですが、高齢者の方で筋力が心配な方は、最初に肉や魚から食べるのも手です。
〇おわりに
これまで食事に気を使っていても体重が減少しなかったり、血糖コントロールがよくならないという方に対して、近年、糖尿病の食事療法の話題がカロリーから糖の量や質に移行されつつあり、「糖の種類や量、食べる順番に注目されると食事療法が楽になりますよ。」というお話をすることがあります。後でその結果を聞くと、以前の食事療法よりも受け入れやすく、良い傾向になることが多いようです。
私自身も食後の血糖値が高くなることがあり、食後、身体がつらくなったり、強烈な眠気に襲われることがありましたが、糖の種類や量、食べる順番を気にしていると、食後の身体の疲れや眠気が軽減していることが多くなったと実感しています。
但し、今回のお話は血糖値が中心ですので、カロリーオーバーや少なすぎたりしないように、栄養バランスを無視しないで行ってください。また、極端に減らしたり、急激にはじめると身体や精神的につらくなります。
興味のある方は、ほどほどからはじめて、ご自身に合ったペースをつかむことをまずは目標にしては如何でしょうか?
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二葉鍼灸院
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